鋼の翼

硬いようで脆いメンタルヘルス系大学生(♂)のブログです

フジファブリック・志村正彦の詩学

こんにちは、寂しがりエアムードです。

今回は自分が人生で最もハマったバンドであるフジファブリックについてです。

 

フジファブリックの基礎知識はここでは省かせていただきます。

知らない人はホームページとかwikiで調べてください。

代表曲は「若者のすべて」「銀河」「桜の季節」あたりでしょうか。

この三曲以外にもYOUTUBEにMVが何曲かありますので、ぜひ聴いてみてください。

 フジファブリックは、志村正彦 (Vo&G)を中心に2000年に結成された日本のロック・バンド。2002年にインディーズで1stミニアルバム『アラカルト』をリリース。2004年4月、現メンバー3人を含む5人編成でシングル「桜の季節」でメジャーデビュー。2009年12月24日に志村が急逝するも、バンドは残されたメンバーで活動を継続することを表明。2011年夏より山内総一郎 (Vo&Gt)、金澤ダイスケ (Key)、加藤慎一 (Ba)の3人による新体制で本格的に再始動する。

wikipediaより

上にも書いてありますが、ギターボーカルでバンドの中心人物だった

志村正彦さんは2009年の12月、今から10年ほど前に亡くなっています。

現在は志村さんを除いた3人でフジファブリックとして活動しています。

 

 

フジファブリックとの出会い

自分がフジファブリックに出会ったのは、高校生1年生の2012年のことでした。

軽音部にフジファブリックをメインでコピーしていた先輩たちがいたのですが、

初めて「銀河」のイントロを聴いた時のものすごい衝撃を鮮明に覚えています。


フジファブリック (Fujifabric) - 銀河(Ginga)

そして、ボーカルが既に亡くなっていることを知って私はさらにビックリ。

思春期の私はフジファブリックの世界にどんどんハマっていきました。

当時は何も考えずにただヘビロテしていましたが、

少し大人になった今、フジの何が良いのか思っていることをまとめてみます。

 

 

「最高に情けなくて、最高にかっこいい」

フジファブリックの魅力は、一言でいうと「情けなさ」だと思います。

志村さんの書く歌詞の主人公(僕・俺)って、大体女々しくて、弱っちいんです。

だから、冷静に歌詞だけを読むと、笑っちゃうぐらい情けなくなります。

でも、矛盾しているようですが、それが最高に「カッコいい」んですよね。

 

ここでは、いくつか実際の歌詞を紹介したいと思います。

歌詞の解釈は人それぞれなので、私の解釈を押し付けるのは野暮なことですが、

誰かの役に立つかもしれないので、私なりの解釈を書いておきます。

 

まずは一番の代表曲である「若者のすべて


フジファブリック (Fujifabric) - 若者のすべて(Wakamono No Subete)

真夏のピークが去った 天気予報士がテレビで言ってた

それでもいまだに街は 落ち着かないような 気がしている

夕方5時のチャイムが 今日はなんだか胸に響いて

「運命」なんて便利なものでぼんやりさせて

最後の花火に今年もなったな

何年経っても思い出してしまうな

ないかな ないよな きっとね いないよな

会ったら言えるかな まぶた閉じて浮かべているよ

(中略)

すりむいたまま 僕はそっと歩き出して

最後の花火に今年もなったな

何年経っても思い出してしまうな

ないかな ないよな なんてね 思ってた

まいったな まいったな 話すことに迷うな

最後の最後の花火が終わったら

僕らは変わるかな 同じ空を見上げているよ

 

AメロBメロは、僕が現在置かれている状況を説明しています。

しかし、それらはすごく背景的に描写されていて、

僕はあんまり興味のなさそうな、上の空な印象を受けます。

 

サビでは、主人公が花火を見ながら、昔好きだった人のことを考えています。

青春の頃、言えなかった気持ちを「目の前の花火を見ずに」目を閉じて浮かべているのです。何年たっても未練たらたらです。

Cメロの「すりむいたまま 僕はそっと歩き出して」というフレーズ。

クリシェのコード進行も相まって、相当な未練が感じられます。

 

しかし、ラスサビでなんと。

「ないかな ないよな なんてね 思ってた まいったな まいったな 話すことに迷うな」

その人にばったり出会ってしまいます!

いざ会ったはいいものの、なんと切り出していいか分からない僕。

 

でも、「最後の最後の花火が終わったら 僕らは変わるかな 同じ空を見上げているよ」

ここだけ「僕ら」になっているのも、「目を開けて」空を見上げているのも

僕が一歩前に進めたことを表しているのではないでしょうか。良かったね。

 

フジの一番の代表曲である「若者のすべて」ですが、

正直に言えば、初めて聴いた高校生の時はあまり良さが分かりませんでした。

もし「若者のすべて」の歌詞が染みるようになってきたということは、

あなたも真夏のピークが過ぎて、大人になってしまったということなのかもしれませんね。

 

逆に、今高校生のあなたに聴いてほしいのは「桜の季節」


フジファブリック (Fujifabric) - 桜の季節(Sakura No Kisetsu)

桜の季節過ぎたら 遠くの町に行くのかい?

桜のように舞い散って しまうのならばやるせない

oh ならば愛をこめて so 手紙をしたためよう

作り話に花を咲かせ 僕は読み返しては 感動している

(中略)

 

春は出会いと別れのシーズンと言いますが、

これは「桜の季節が過ぎたら、好きな人が遠くの町に行ってしまう」という曲です。

 

個人的に好きなフレーズは、

「作り話に花を咲かせ 僕は読み返しては感動している」というところ。

皆さんも自分の書いたラブレターを何度も読み返した経験ってありますよね。

一晩立って冷静に読むと鳥肌が立ってしまうような内容でも、

書いてる時はなぜか素晴らしいものに思えるラブレターの不思議が

よく表現されてると思いませんか?

 

最後に、少しサイケデリックな「パッションフルーツ


フジファブリック (Fujifabric) - パッション・フルーツ(Passion Fruits)

夢の中で あやかしパッション

響き渡るファンファーレ

僕は踊る道化師のようだね

ゆうべの君は 悪の化身で

例えるならバンパイア

甘く熟れた果実のようだね

(中略)

含み笑いが素敵だね

メガネはどうか そのままで

だからからかったら からかったら ダメ

手を取り円を作らせてくれ

魔術師 手品師 手を変え品

そして禁断の約束しよう

(中略)

 

さっきから歌詞の話ばっかりしていますが、もちろん私はフジの曲自体も大好きです。

フジの音楽はロックからダンス、バラードからサイケデリックな曲まで、ジャンルにとらわれないと説明されることが多いですが、

この「パッションフルーツ」はシタールの印象的なサイケデリックなナンバーとなっています。

 

これは自分も今知ったことなのですが、

"passion"は普通「情熱、情欲」などと訳されますが、(日本語化してますね)

しかし、"passionfruit"の"passion"は「受難」の意味で「情熱」ではありません。

トケイソウ - Wikipedia

 

それを志村さんが知っていたかどうかは分かりませんが、

「君」に夢の中でまで踊らされる「僕」。

「君」はメガネをしたちょっとSっ気のあるお姉さんなのかもしれません。

甘く熟れた果実のようなフェロモンむんむんの「君」と「僕」は禁断の約束をします。

 

禁断の約束ってなんなんでしょうか?すごく童貞臭いですよね。

パッションフルーツってよりもむしろチェリー

 

 

等身大のヒーロー・志村正彦

世間一般的に見て、童貞って情けないものだと思います。

女の子の肌に指一本触れたことすらなくて、

隣の席の女の子に消しゴムを拾ってもらっただけでドキドキして、

すごく情けないし、馬鹿にされるような存在です。

 

だけど、それを「ピュアさ」「純粋さ」だと初めて肯定してくれたのが、

フジファブリックというバンドでした。

だから、志村さんの歌詞は、自分に自信のないやつほど染みるのです。

私が思春期にフジファブリックに出会えたことは本当に幸運だったと思っています。

 

志村さんは29歳で亡くなりました。死因は分かっていません。

世間では様々な憶測が飛び交っていますが、

彼が何を考え、どのように死んでいったか知るすべはもうありません。

しかし、フジファブリックを聴くたびに私はこう思います。

志村正彦は、この社会で生きていくにはあまりにも綺麗すぎた」のだと。

 

別に神格化するつもりはありませんが、

私にとって、彼はいつまでも「等身大のヒーロー」です。

生きているうちに一度ライブに行きたかったですね。

これは一生消えない後悔になると思います。

 

最後に、志村さんのご冥福をお祈りいたします。

ありがとう、フジファブリック。これからも頑張れ!